客家土楼(永定)の観光スポット紹介

福建省の南端、広東省や江西省とも接する龍岩市ですが、この龍岩市には 客家の人々によって造られた土楼という土造りの住居が点在し最近は観光スポットとして広く知られるようになりました。 特に永定県にはこの土楼が円形のものが360、長方形のものが4,000ほどと大変多くあります。この土楼の多くは12世紀から20世紀にかけて建てられたもので、 2m近い 厚い土壁と木の骨格から成り、高さは3階か5階、80家族以上が生活しているものもあります。この土でできた建物は通常1つの入口しか無く、 その入口も、鉄板で頑丈に補強された厚さ10センチから13センチの板戸で守られて、建物の最上階には、盗賊を防御するため、狭間が空けられ 徹底して守られています。2008年【福建土楼】として世界遺産に登録されたのは6土楼群、4棟で永定県の洪坑、初渓、高北土楼群と振福楼、衍香楼、 龍岩市のとなりショウ州市南靖県の田螺坑、河坑土楼群、華安県大地土楼群です。

初渓土楼群

永定県下洋鎮の初渓村にあり世界遺産【福建土楼】の6群、4楼の一つです。 なだらかな斜面に各土楼が建てられ、展望台からその景色を眺めることができます。 ここで有名なのは集慶楼で、初渓の中で最古かつ最大の円形土楼で、1419年、明の永楽帝代に建てられたものです。 同心円状に2棟の円形土楼で、外円の直径は66m有り、4階建てで、各階に53部屋の部屋が造られ、階段は72か所あります。 内側は1階建ての平屋で中心には祖堂が配置されています。この集慶楼では客家の歴史や文化を伝える展示物も有ります。

洪坑土楼群

全景
振成楼
奎聚楼

永定県湖杭鎮洪杭村にある土楼群で狭い範囲に明清代に築かれた46土楼があることが特徴です。 この土楼群の中で有名なのはまず[土楼王子]とも呼ばれる【振成楼】 で1912年-1917年にかけて 裕福なタバコ販売業者林上堅の孫、林鴻超によって建てられました。 振成楼は同心二重円状の土楼で高さ16m、直径57m、5,000u有ります。 外側は4階建て全部で192部屋あり、内側は2階建てで32部屋有ります。外側の土楼は主楼とも呼ばれ、中国風水の八卦に従って、8つに分けられていています。 8つに分かれた区域の中の各階には6部屋ずつあり、4階まであるので各区域合計24の部屋があります。そのことから【八卦楼】とも呼ばれています。 祖廟にはギリシア様式の円柱、2階通路にみられる錬鉄の手すりなど、西洋の影響が見て取れます。
ここには他にも洪坑土楼群には林上堅とその息子によって建てられた総面積7,000u、後方主楼が5階にも及ぶ永定県最大の府第式方楼【福裕楼】、 逆に直径わずか17m、3階建てで16部屋しかない永定県最小の【如升楼】、宮廷式方楼の【奎聚楼】など特徴ある土楼を見ることが出来ます。

高北土楼群

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承啓楼外観
承啓楼内側

永定県高陂鎮高頭村の高北土楼群は 福建省最大の土楼である【承啓楼】や僑福楼、世沢楼、五雲楼など江氏一族によって建てられた土楼を中心にした土楼群です。
承啓楼は1709年に建設され大きな円形土楼が4つ同心円状に並び、中央には祖廟が有ります。敷地面積は5,370u、高さ16.4m、直径73mもあり 【土楼王】とも称されます。  外側の土楼は、各階72部屋の4階建てで計288部屋、2階から4階には円形通路、階段が4方位に4か所あって最上階までつながっています。  1階には江氏一族の台所、2階には穀物保管庫、3階と4階には居室と寝室が有ります。  2つ目の円形土楼は、2階建てで各階40部屋の計80部屋、3つ目の土楼は平屋で32部屋、4つ目の土楼は、祖廟を囲む屋根つきの円形通路となっています。  祖廟は中央に位置します。承啓楼には、2つの大門と2つの小門があり、現在でも江氏15代目の57家族300余人がここに住んでいます。  全盛期には、一族80家族以上が承啓楼に住んでいたことも有ります。この土楼群には他に、同心三重円の深遠楼(直径70メートル)や変則五角形の床面の五角 楼、長方形の世沢楼などがあります。

南渓土楼群

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衍香楼

洪坑土楼群のある湖坑鎮の南西に位置し、渓流、南渓に沿って十数キロに渡り土楼が点在する地域です。展望台もあり 土楼の景色を眺めることも可能です。ここで有名なのは振福楼と衍香楼の世界遺産に登録される2つの土楼です。振福楼は タバコの商売で財を成した蘇振泰が1913年に建てた二重円楼です。中央にはやはり祖堂が配置されています。直径は約42m、4,000uの面積があり 外側は3階建て、内側は平屋となっています。
1842年、蘇氏によって建てられた衍香楼もやはり円楼で。直径は約40m、4,300uの面積があり外側は4階建て、内側は平屋となっています。 中央に配置された祖堂が円形では無く長方形をしている特徴があります。
その他に1693年に建てられた環極楼は。直径は約43m、外側は4階建てで高さ20m、内側は平屋、中央には珍しく祖堂が配置されていません。 1918年、M7級の地震に会いましたが倒壊しなかったことから堅牢な土楼として有名です。

田螺坑土楼群

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裕昌楼

福建省ショウ州市南靖県書洋鎮する田螺坑土楼群は 5つの土楼から成り、中央に方形の歩雲 楼、その周囲に3つの丸い土楼と楕円形の土楼との「四菜一湯」で構成されています。 方形の歩雲楼は五点形の中央に位置し1796年に最初に建てられた土楼です。3階建てで、各階に26部屋、階段が4か所、各階の部屋の前に環状通路があります。 歩雲楼は1936年に放火により全焼し、1953年に再建されました。 円形の3楼は1930年に建設された振昌楼(3階建て各階26部屋)、1963年に建設された瑞雲楼(3階建て各階26部屋)、 和昌楼(3階建て)で、楕円形の文昌楼(3階建て各階32部屋)は1966年に建設されました。この田螺坑土楼群はアモイなどからも日帰りで観光可能となり 近年人気があるスポットです。
また、ここから北西5Km程の場所には1308年元代に 劉、羅、張、唐、範の5家によって建てられた、中国でも最も古く高い土楼の1つである裕昌楼があります。 直径は36m、5階建てで各階には50の部屋があり、各家ごとに5区域に分け、各区域ごとに1階-5階へとつながる階段があります。 内側は平屋で、2003年までは祖廟を囲んでいましたが、2003年以降解体されました。また、一階にある多くの台所は それぞれのかまど近くに井戸が掘られていて、このような水の供給に便がよい土楼は、福建全体でも唯一となるそうです。 土楼の柱が傾いていることから「東倒西歪楼」とも言われます。

大地土楼群

二宜楼外観
二宜楼内景色

アモイから片道3時間ほど、ショウ州市華安県仙都鎮の大地村に位置しアクセスは比較的便利な土楼群です。 ここで有名なのは何と言っても【二宜楼】で 1740年から30年の年月をかけて建築されました。外側は4階建て高さ16m、内側は平屋建てになっていて、 外側の土楼は直径71メートル、各階に48部屋あり、面積は9300uと巨大な二重円楼です。 この二宜楼の最大の特徴は、それぞれの階の前に環状の通路が無く、代わりに4階の外壁と部屋の間に通路があることです。 また、外側の土楼の部屋は、家族毎に縦に分割されていますが(1階から4階までを1つの家族で使用)、 共同階段ではなく個々の区分の中に自分たち専用の階段を持っている特徴があります。 円楼の外壁は花崗岩を使用し出来ているため厚さが2.5mあり、内側は壁画や彫刻などで装飾されています。

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